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「置かれた場所で、咲く。」

「駐在妻ライフキャリア研究所」臨床心理士の原田舞香です。関西は雨続きですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?さて今日は、私が20代のころからこれまでずっと大切にして来た「置かれた場所で、咲く」ということについて、お話ししたいと思います。

 

これは、故・シスター渡辺和子先生のご著書「置かれた場所に、咲きなさい」の中で渡辺先生が述べられている言葉です。名言として臨床心理士の先輩にも「その言葉、私も好き!」とおっしゃる方がおられるくらいなので、皆さんもご存知かも知れませんね。

 

この本の中では、時間の使い方は、そのままいのちの使い方。置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。「こんなはずじゃなかった」と思う時にも、その状況の中で「咲く」努力をしてほしいのです…といったことが書かれています。

 

渡辺先生は、修道院でシスターとして暮らす中で、多くの出会いに恵まれたものの、人間ですから、時にはそりの合わない方がおられたり…といった逆境の中で、「置かれた場所で、咲く」と思われながら過ごされていた来たといいます。なお、ここで渡辺先生のおっしゃる「置かれた」の主語は「神様に」という意味だと私は解釈しています。キリスト教や、宗教になじみのない方は、「人智の及ばない、何か偉大な力」と考えて頂いたら良いかと思います。

 

私にとって結婚後、ふるさと東京を離れてから、ずっとこの「置かれた場所で、咲く」という言葉を胸に生きて来ました。とりわけ中国・北京の「駐在妻」となってからは「置かれた場所で、咲く。」を座右の銘として生きて来ました。きっと今このブログを読んで下さっている駐在妻の方にとっても、心に響く言葉ではないかと思います。

 

自身のキャリアを中断しての海外渡航。「結局は自分で決めたことでしょ?」と言われればそれまでですが、決して自分の望んでいるタイミングでも、自分の望んでいる場所ではない。そしてビザの都合で仕事が出来ない等、自分の生活に自由がない。それでもその時与えられた、その範疇の中で精一杯生きて行くしかない。

 

「今、ここ」にいることを嘆いてばかりいるよりは、「今、ここ」で精一杯生きて行くことを考えよう!頭ではわかっていても、心がついて来るには時間が掛かるかも知れません。それでも、嘆いていることで時間が経過してしまうよりは、いいはず…そう思って、駐在期間中、私の場合まずは語学習得のために毎日大学へ通い、次にボランティア活動に励みました。

 

海外駐在はスライドの多い方もおられるので、5年以上同じ土地にいられたことは、ある意味幸運だったのかも知れませんが、この期間にいくつか業績を残すことが出来、自分なりに「置かれた場所で、咲くことが出来たな」と思うことの出来た期間となりました。  

 

私は今現在、本帰国※した地ではまだ「置かれた場所で、咲く」を実現出来ていません。新しい土地に来て2年半しか経っていないのですから、仕方がないこと、まだまだ人脈を作ったり、力をためる時期だと思っています。それでも今は自分なりの目標を定め、「北京駐在中は頑張れたのだから、きっと次の花も咲かせることが出来る」という気持ちで過ごせています。

 

そのような経緯があり、駐在妻・元駐在妻・これから駐在妻となられる皆さんが、今、それぞれに「置かれた場所で、咲く。」ことのお手伝いが出来れば…と思ったことが、「駐在妻ライフキャリア研究所」の開設に至った想いの1つとなっています。

 

※本帰国…駐在期間を終えての帰任、現地での生活を引き上げて帰国すること。長期休暇や里帰り出産のような短期間の「一時帰国」と区別される。

 

参考文献:渡辺和子「置かれた場所で咲きなさい」幻冬舎

  

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