· 

「みんなちがって、みんないい。」

皆さん、こんにちは。「駐在妻ライフキャリア研究所」臨床心理士の原田舞香です。関西は秋が深まったというよりは冬の訪れを感じさせる気候となりました。

さて、今日は私が北京の医療機関に、ボランティアの臨床心理士として勤務していた際、北京駐在女性向けのメンタルヘルスセミナーでご紹介した詩を、皆さんにもシェアさせて頂きたいと思います。

わたしと小鳥とすずと」

 わたしが両手をひろげても、お空はちっともとべないが、

 とべる小鳥はわたしのように、地面(じべた)をはやくは走れない。 

わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、 

あの鳴るすずはわたしのようにたくさんのうたは知らないよ

 すずと小鳥とそれからわたし、みんなちがって、みんないい

  出典:金子 みすゞ(みすず)※の詩「わたしと小鳥とすずと」

当時、私が北京で暮らしていたマンションでは、NHK Eテレの放送を見ることが出来る(ある意味)幸運な環境でした。実はこの歌、Eテレの子供向け番組で、歌付きで紹介されていたのです。子どもと一緒にこの番組を見ていた私、この詩に心を打たれました。Youtubeでご覧いただけます。「みんなちがってみんないい」https://www.youtube.com/watch?v=ncRWshmF3oE

 

それで、その後メンタルヘルスセミナーにて「これは是非!」と思い、セミナーの最後にご紹介させて頂いた次第です。アンケートをご回答いただいた際、参加者の方から「金子みすずの詩、好きです」といったことや、「最後の詩が心に残りました」とおっしゃっていただきました。

夫の海外駐在に帯同している女性である駐在妻としての生活は、住む国、地域、夫の勤務先によってかなり異なっています。しかし、自分と他人を比べてしまうことって、きっとあると思います。

例えば、北京の密接な日本人社会の中で暮らしていた私の場合、駐在当初はこんな思いがありました。

「大学でがっつり語学を学ぶことなんて、駐在妻として不要ではないか。必要最低限の語学を身に付け、後は先輩駐在妻さん達とのお付き合いに時間を費やすべきではないか」

「料理好きではない私は、専業主婦として失格で、駐在妻らしくないのではないか。たとえ不得意でも、お付き合いだと思って料理教室に行くべきではないか。」

「周囲の駐在妻さんたちのように、素晴らしい専業主婦・母親を目指し、ボランティアなどせずに近所の駐在妻さん達との交流を最優先に過ごすべきではないか」

…等々、狭い日本人社会に住んでいると、ついつい自分と他人を比較してしまいがちです。

私の場合はその後、折り合いの付け所を見つけて過ごせるようになりましたが、そこまでの過程で悩まれる方も多いと思います。  

 

そして国内外を問わず、たとえ密接な日本人社会の中にいなくても、日本にいる友人・同僚たちと比べてしまうこともあるかも知れませんね。

「同期達は皆、産休・育休を取って元の職場に復帰し、キャリアを築いている」

「友人たちは、実家の近くに住み、子どもが病気の時も子どもを預けながら仕事を続けている」

「あの人は本帰国後、すぐに再就職先を見つけているのに、私は頑張っても不採用ばかり」

 

でも、「みんなちがって、みんないい」のです!逆に言えば、もし仮に近年駐在妻のキャリア志向が高まっている中、「私は働きたくない」「専業主婦でいたい」という人がいても、それでいいと私は思います。「○○ねばならない」「○○すべき」と思ってしまうと、自分を追い詰めてしまうので、このような考えが止まらない時は、ちょっと立ち止まって見ても良いと思います(これは「認知行動療法」で言うところの「べき思考」ですが、詳しくは別の機会にご説明します)。

 

私がお伝えしたいのは、「みんな違って、みんないい」「自分らしくていい」「他人と自分を比較する必要はない」ということです。自分自身のアイデンティティを揺さぶられる海外生活の中では、日本人同士であっても他の国の人とであっても、互いに個性の違う、考え方の違う他者を尊敬して生きて行く姿勢が必要なのです。周囲の方々がそう思ってくれるかどうかは別ですが、少なくとも「自分で自分を認めてあげる」ことがとても大切になって来ます。

 

 「頭では分かっているつもりだけど、気持ちがついて行かない・・・」そんな時、本研究所では元駐在妻の臨床心理士がお話伺っています。メール相談はこちらから、只今初回無料キャンペーン期間中です。宜しければ是非ご利用くださいね。

 

 ※金子みすゞ(みすず):大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した日本童謡詩人。(Wikipediaより引用)

© 2017 駐在妻ライフキャリア研究所